荒れる海でも、吹雪く山中でも、陸海を問わず日々過酷な環境で活動する航空救難団のメディック達。7ヶ月もの月日をかけて弊社開発チームは、救難団メディックにヒアリングしながら作業を進めてきました。
その「航空救難団専用モデル」の全容をついに公開!
JASDF ARW-60J(仮)は救難活動に従事する隊員に向けて開発された、日本で唯一の本格レスキューウォッチです。
デザイン
救難員が乗り込むブラックホーク(UH-60J)をイメージしたオールブラックの精悍なケースとベルトは、PVD処理により耐磨耗性が高められています。
文字盤には航空自衛隊の英語表記とともに、6時側には航空救難団の部隊標識がデザインされています。部隊標識のカラーは、メディックからの要望により、任務で目立ちすぎることがないよう、隊員の迷彩服に貼られている実際のワッペンカラーとしました。
文字盤中央には、幾何学的に最も強い構造とされるヘキサゴン(6角形)メッシュの模様がエッチング処理により施され、救難員たちの誇りと強さを表現しています。
ケースバックは、回転するローターが見える一部スケルトン構造になっています。
ガラス中央には、救難団のスローガンである「That Others May Live -他を救うために-」の文字とともに、部隊を構成するU-125A(捜索機)、UH-60J(救助機)、CH-47J(輸送機)の3機の航空機を、ゴールドカラーの特殊メッキによりデザインしました。
ローター発電式駆動システム
24時間昼夜を問わず出動に備える救難員達にとって、突然のバッテリー切れは任務に支障をきたします。また現場メディックからのヒアリングを通して見えてきたのは、秒単位で求められる時刻の正確さでした。
日本で唯一パラレスキュー(落下傘降下による救難活動)能力をもつ航空救難団にとって、高速で飛ぶ救難ヘリから正確に現場まで落下傘降下することは非常に重要です。
そのためには、ヘリから飛ぶ瞬間まで秒単位でのカウントが必要になります。
正確さと、電池切れの回避。両要素を満たす方法として私たちが導き出した答えが、腕の動作で発電駆動する、「ローター発電式クオーツ」でした。
内部ローターが腕の動作で回転・発電するため、腕に装着している限り、電池切れで時計が止まることがありません。
また発電された電力は内蔵キャパシタに充電され、フル充電時は最大6ヶ月間稼動が可能です。
運針は、クオーツ式電子回路により日差わずか+-0.7秒を実現しています。
自家発光インデックス
夜間における外洋救難活動は、日本で唯一、航空救難団だけが行うことができます。
これは、装備も含めた総合的な救難能力の点で、民間や海上保安庁では対応が困難であるからです。
通常、数百マイルも離れた外洋まで移動するためには、救助ヘリであっても2時間以上を要します。これが夜間の場合、通常蓄光では現場まで到着する間に光が減衰して時計が見えなくなってしまいます。
そこで、自家発光する特殊物質“トリチウム”を封入したマイクロカプセルを、文字盤4箇所と時分針に設置しました。
長時間に渡る夜間の外洋救難任務においても、瞬時の視認性が確保できる設計としています。
※トリチウムは水素の同位体で、20年以上光り続けるといわれている化学物質です。
非常に高価なため、文字盤全周に配置すると時計自体の価格が高価になってしまいます。
価格を抑えながら実用的な機能性を確保するため、現場メディックとの話し合いの結果、12時、3時、6時、9時の4箇所と、時分針に配置をしています。
また、どんな姿勢でも時刻が瞬時に分かるよう、12時位置だけオレンジの発光色としています。
パルスメーター(脈拍計)
航空救難団のミッションは、要救助者の命を救うことです。
被救助者の容態を即座に判断するために、両方向に回転するベゼルには、脈拍を計測できるパルスメーターが印字されています。
計測起点となるベゼルの赤い▼印を秒針位置に合わせ、30拍の時のメモリを読み込むことで、1分間の脈拍を短時間で測ることができます。
通常の戦闘部隊とは違う、レスキューに特化したベゼル機能となっています。
パラシュートナイロンストラップ
フィールドを問わない救難任務の中でも、陸上用として、「軽さ」と「強さ」を兼ね備えたパラシュートクロスのナイロンベルトを付属しています。
パラシュートクロスは、丈夫な糸が格子状に織り込まれた特殊構造になっており、万が一裂けが生じても格子の目ごとにブレーキがかかり、連続して裂けることを防いでくれます。
なお、生地は国内で唯一防衛省自衛隊に落下傘を供給している民間企業である“藤倉航装”社製のものを使用予定です。
また、ベルト交換は特殊な工具を必要としない、ピンレバー式の着脱構造としています。
パラシュートは、日本で唯一のパラレスキュー部隊であるメディックたちの誇りであり、その素材を使うことは、私たち開発者がこの時計を通して彼らに捧げるオマージュでもあるのです。
仕様概要
ケース径: | φ43.5mm |
---|---|
厚み: | 13.9mm |
バンド幅: | 22.0mm |
重量: | メタルバンド装着時180g ナイロンバンド装着時100g |
ムーブメント: | SEIKO YT57 AGSキネティックムーブメント(日差+-0.7秒) フル充電時最大6ヶ月稼動 |
ケース: | SUS316L ステンレス(ブラックPVDハードコーティング) 裏蓋一部スケルトン |
バンド: | SUS316L ステンレス(ブラックPVDハードコーティング) 藤倉航装社製パラシュートクロスストラップを付属 ピンレバー式簡易着脱方式 |
バックル: | メタルバンド/セーフティロック式ダブルプッシュバックル ナイロンバンド/JASDFロゴ入り尾錠 |
ベゼル: | パルスメーター(脈拍計)付き 両方向回転ベゼル |
ガラス: | K-1強化ガラス DLCハードコーティング |
防水性能: | 200M防水 ネジ込み式リューズ |
文字盤: | 全インデックス強蓄光 12時、3時、6時、9時位置にトリチウムマイクロカプセル(12時位置のみオレンジ発光色) |
針: | 全針強蓄光 時分針にトリチウムマイクロカプセル |
航空救難団モデルの開発ストーリ―ですが、次回は、航空救難団モデルの生産に関して重大発表があります。ぜひ皆様に知っていただきたい内容ですので、22日の公開をお見逃しないよう、お願いいたします!