創業30周年に相応しい新製品の開発という重責に苦悩しながらも、苦労の末にブレずに完成させた本モデルは、結果的に国産ダイバーズウォッチでは初となる新規要素がふんだんに盛り込まれた、革新的なモデルになりました。
ついに完成したプロトタイプサンプルの画像とともに、その魅力を余すところなく解説していきます。
誇りに掛けて完成させた“ブルーセラミック”
本作では、国産ダイバーズウォッチでは初採用となる、ブルーセラミック素材をベゼルに使用することに成功しました。その製造がいかに難しいかは、第1話で触れたとおりですが、艶やかで深い藍色に輝くセラミックの美しさは、言葉では表現しきれない格別なものがあります。
現在は大手ブランドであっても、安価で加工も簡単なアルミパネル式のベゼルを採用することが主流となっていますが、アルミ材では到達することができないブルーセラミックの持つ高級感と希少性は、“本物”を持つ喜びと満足感をもたらしてくれるものです。
またセラミックはサファイヤと同じモース硬度9を誇るその超硬特性から、傷つくことなく、永年に渡ってその美しい輝きを保ち続けることができる実用性も兼ね備えています。
今回、一度は断念したブルーセラミックの開発に再挑戦し成功することが出来たのは、国産メーカーとして、“ブルー”に馳せる特別なプライドがあったからかもしれません。
青、蒼、藍。
「あお色」の表現には日本がその長い歴史の中で育んできた繊細な感性と風雅な和の心が凝縮されています。当社のブランドカラーが濃紺であるのも、この日本の伝統色からインスパイヤードされたものだからです。
そんな、日本人の美の心が生み出した藍色を、先進素材のセラミックで表現したかったという開発者の秘めたこだわりも、このブルーセラミックには込められているのです。
0.8mmにかけるこだわり
時計の厚みは、見た目や装用感を決める大切な要素です。ダイバーズウォッチは、その機能的な優先度から、厚みが犠牲にされてしまいがちですが、それは作り手側の都合であるとも言えます。
本作では、第1話でご紹介した1000M防水構造の開発ノウハウを元に、ガラスや裏蓋の厚みを極力抑え、自動巻き300M潜水防水ながら総厚14.2mmという薄さを実現しました。15mm以下の総厚は、同スペックの国産自動巻きダイバーズでは業界初となります。
さらに、前作のマリンマンシーホースの設計思想から受け継がれた、カーブしたケース断面形状と、裏蓋外径を極力小さく絞るデザインは、装用時に厚みのストレスを感じさせない錯視的な効果も生み出しています。
ベゼルに向かってカーブするケース断面形状
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外径を小さく抑えた裏蓋
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機能を確保しながら、相反するマイナス要素をいかに最小限にとどめて完成度を高めていくかは、モノづくりメーカーの腕の見せ所です。
15mmから14.2mmの世界へ、
わずか0.8mmであっても、細部にまで完成度を追求する揺るぎないこだわりこそが、ケンテックスの真骨頂であり、創業から30年間続けてきた伝統でもあります。
考え抜かれた外装デザインが、見た目の厚み感をさらに抑えている
最強の視認性
ISOが定めるダイバーウォッチの規定では、文字盤と針に蓄光塗料が使用されることが定められています。本作ではインデックスと針にはもちろん、ベゼルのタイムレセプティング目盛りにも強蓄光を使用することで、暗闇での時刻確認と時間計測時の実用性を飛躍的に高めています。
光るタイムレセプティングベゼル
さらに強蓄光に加えて、国産ダイバーズウォッチでは初となるトリチウムガスチューブをインデックスと針に惜しみなく採用しました。
トリチウムガスチューブは、僅か直径1mm以下のマイクロガラス管に、発光性のトリチウムガスを封入することで製造する、スイスmb-microtec社の特許技術です。
その発光原理は蓄光とは違い、光が当たらなくとも自ら発光し続ける性質を持っているため、蓄光が消えてしまうおよそ3時間後以降もその発光が持続し、視認性を保ち続けることが可能です。
強蓄光とトリチウムのコンビネーションインデックス&針
3時間後以降(トリチウムだけが発光)
30分後(蓄光とトリチウムが発光)
この蓄光とトリチウムのコンビネーションが暗所での実用性を高めることはさることながら、それぞれが暗闇で織り成す光の芸術は、まさに機能美そのものです。
光がなくてもなお、腕元で存在感を放つそのパワフルな個性が、持つ人の気持ちを高揚させてくれるのです。
ふさわしいネーミング
これまで本モデルの特徴をお伝えしてまいりましたが、これを読んでおられる皆様でしたら、この時計にどのような名前をつけるでしょうか。
Oceanogrpher・オーシャノグラファー(海洋学者)、Leviathan・リヴァイアサン(海に住む幻獣)・・・ さまざまなアイデアが社内で飛び交いましたが、私はこのモデルに、SEA-ANGLER・シーアングラー(チョウチンアンコウ)という名を授けました。奇抜と思われるかもしれませんが、深海の暗闇で光を放つ独特の生態観と、独自に進化を遂げたその個性的かつ超機能的な風貌が、今回開発したこの時計の世界観にピッタリだと思ったからです。
SEA-ANGLERの名を得た本モデルのケースバックには、その名のとおり、チョウチンアンコウのモチーフが高級感と躍動感溢れる型打ち加工によって表現されました。
カラーバリエーション
SEA-ANGLERでは新たに開発したブルーセラミックモデル、定番のブラックセラミックモデル、そして30周年記念ロゴが印字された、限定188個生産のブロンズエイジング加工調のブルーセラミックモデルの3種類を一般販売モデルとして製作します。
(クリックで拡大/縮小)
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エイジング加工調のブルーセラミックモデルは、ステンレスをベースに、2重にPVDメッキを施した後バレル加工を行う当社の独自技術によって、その風合いを出しています。
そのため、ステンレスと変わらない耐食性を有しており、ダイビングにも安心してご使用いただけます。
さらに、当社の直営ブティックだけの限定商品として、ブルーセラミックにブルーMOP文字盤を配した、30周年特別記念モデルを限定30個のみで製作いたします。
壮大で神秘的な海のきらめきを表現したブルーシェルの輝きは、一つとして同じものはなく、ケンテックスの創業30周年に相応しい特別な限定モデルとなっています。
なお、実物のサンプルは6月下旬より弊社ブティックにて展示を予定しています。
ブルーMOPが美しい、ブティック限定モデル(限定30個生産)
発売情報について
ようやくプロトタイプが完成し、現在生産を進めているところとなりますが、発売は2019年7月末頃を予定しています。
また販売価格につきましては、詳細はまだ未定ではありますが、同スペックの国産ダイバーズウォッチでは初めてとなる、税抜き10万円以下の価格にて販売させて頂く予定です。
(一部限定モデルはその限りではない可能性がございます。)
なお6月下旬から、創業30周年記念の特別な特典とともに、本モデルの先行予約が開始される予定です。
弊社ウェブサイトでのご案内となりますので、ぜひお見逃しのないようにご覧ください。
Marineman SEA-ANGLERは、ISO6425規格に準拠する、300M潜水防水性能を持つプロダイバー仕様でありながら、日常のライフシーンでも実用的で格好良く身につけられる新しいダイバーウォッチのあり方を追究しました。
創業30周年の節目に、こうして新たな製品開発に挑戦出来ることは、メーカーとして大きな幸せです。
これからも、本物の価値ある商品を適正な価格でお届けするという創業理念を大切に、一人でも多くの方に腕時計を通じて感動と喜びをお届けしてまいりたいと思います。
製品仕様詳細
- ケース素材
- SUS316L 高耐食ステンレススティール
- ケース径
- Φ44.8mm
- ベゼル
- 逆回転防止機能/蓄光付きセラミックベゼル
- リューズ
- ねじロック式リューズ
- 厚み
- 14.2mm
- 重量
- メタルベルト:220g / シリコンベルト:145g
- バンド素材
- SUS316L 高耐食ステンレススティール / シリコン
- バンド幅
- 22mm(先端)/ 18mm(中央部)
- バックル
- メタルベルト: SUS316L エクステンション機能付きダイバーバックル
シリコンベルト: SUS316L 尾錠
- 防水性能
- ISO6425準拠 300M潜水防水
- 耐磁性能
- 4,800A/m
- 風防
- サファイヤクリスタル(拡大レンズ付き)
- インデックス
- 強畜光+12箇所にトリチウムガスチューブ
- 針
- 強畜光+時分針にトリチウムガスチューブ
- ムーブメント
- SEIKO製 NH35自動巻きムーブメント
21,600振動/ 24石/ 秒針規制機能付き/ デイトカレンダー
- 駆動時間
- 40時間以上
- 精度
- 日差0~+25秒(自社で歩度調整)
- その他
- 限定モデルには裏蓋にシリアルNo.を刻印